まき網漁業とは??
さて、昨日あげようとして、アップロードされなかった話題を今日は確実に更新したいと思います。
この話題は、この約一年の間に自分が学んできた知識の棚卸しを少しずつ行っていく企画の第一弾としてのものです。
企画が続いていくように頑張りたいと思いますので、応援していただけるとありがたいです。
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さて、今回の話題は、今、私が従事させてもらっているまき網漁業というものについて
簡単にまとめていきたいと思います。できるだけ正しい情報をお伝えしたいとは思いますが、万が一、間違った情報を書いてしまっている場合は、ご一報ください。
今回は以下の2点をお話しさせていただきます。
- まき網漁業というのはどういった漁法?
- どんな魚を漁獲しているの?
それでは、
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まき網漁業というのはどういった漁法?
まき網漁業(旋網漁業、Purse Siene Fishery)とは、まき網といった巨大な網を用いて、魚群ごと漁獲してしまう漁法による漁業です。
また、まき網とは、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典によると、
魚群を急速に包み込んで捕獲する網。1枚の長方形の網で、長さ1000m、深さ150m以上のものがある。1隻または2隻の船で漁具を追込み、動力などで網を巻上げる。
と記載されています。
上の図を見ながら、わかりやすく説明すると、この漁業では垂直に垂らされたカーテン状の網で魚群を取り囲み、巾着の紐を締めるように網の底を閉じて漁獲するのです。
この図も参考までに。
外洋で行われるまき網漁業は、狙った魚種の群れに対して操業するため、一般的に、効率的な漁法と考えられています。生育途中の小型魚などが逃げられるように網目の大きさを調整することで、資源の再生産が阻害されることのないよう、工夫が行われています。また、網が海底と接触することもないため、海底の環境を変えることがなく、他の魚種へのインパクトが比較的小さなものとなります。この漁法は、正しく行われている限り、資源を維持していきやすいものです。
また、まき網漁業は、漁船の数という点で大きく2つのパターンに分けられます。
一つは、網船(本船)、探索船、運搬船(2〜3隻)の合計4〜5隻の船でチームを組む船団方式というものがあります。日本の沿岸や沖合で行われるまき網漁業はこの方式が取られていることが多いです。探索船が主となって魚群を探し、網船が魚群を網で巻き、運搬船が網にかかった魚群を積んで水揚げ港まで新鮮な状態で運んで行きます。
一方、遠洋でまき網漁業を行う場合、船団の各船が持つ機能を1つの船に集約した、単船方式で行われます。遠い漁場まで向かうため、燃料代など様々な理由から、船団方式での操業は遠洋漁業には向いていません。
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どんな魚を漁獲しているの?
まき網漁業で漁獲される魚種は、海の表層や中上層部に生息する浮魚類と呼ばれる魚です。
例えば、カツオ・マグロ・イワシ・サバ・ブリなど、聞き覚えのある魚だと思います。これらの魚はそれぞれ大きな魚群を形成して回遊することが特徴で、まき網漁業はこのような魚に対して効率的に漁を行います。
遠洋で行われるまき網漁業では、主にカツオがターゲットとされますが、このカツオは日本の食文化を支える上で非常に大きな役割を担っています。
日本の食文化の中心にある出汁ですが、出汁を取るため、鰹節は多くの場面で使用されます。
この鰹節の原料になるカツオはまき網漁業で漁獲されたものがほとんどです。
まき網漁業はこういった点で日本の家庭に非常に大きく貢献しているのです。
しかしこのコロナ禍における外食需要の減退などから、水揚げされる魚につけられる値段(魚価)は近年に比べ、低くなっています。
一方、漁に出るための諸費用は一定であるため、利益が出にくいのが現状です。
様々な業界がこのコロナ禍の下で苦しい状況にありますが、漁業業界もその例外ではありません。
皆さんが美味しいお魚をたくさん召し上がっていただけるような状況が、一刻も早く来ることを祈るばかりでございます。
と同時に、漁業業界は、祈るばかりではなく、どうにか世間にもっと魚の価値を見出させる施策を模索していかねばなりません。
以上、ここまでご覧いただきありがとうございました。
まき網漁業だけでなく、漁業全体に対しても、もっと記していけたらと思うので、応援よろしくお願いいたします。